―大きな、恨みを孕む。
絶望、悲嘆?―よくわからない。
でも、これで、私の復讐は終わった。
忘れもしない、あの冬の日。
雪を染めた、鮮血。
『……忘れるな、○○』
横で声をかけてきた、兄様とその光景を震えながら見つめ続けた。
『この景色を、忘れるな。あの男の子供であることを、私達は生涯、恥じなければならない。罪なき人々を、こうして不幸にして……どうして、許されようか。母上のことも……私は絶対に許さない』
怒りに体を震わせた兄の隣で、少女もまた、怒りに拳を震わせた。
涙は、流せなかった。
流せるはずもなかった。
こんなつもりじゃなかった。
決して、自分は母様を、また、友達の家族を殺すためだけに生まれてきたのではないということを、証明したかった。
父の命令で入った後宮は家ほど窮屈ではなくて、純粋な呉徳妃などはとても可愛かった。
自由で、伸び伸びして、嫁いだ皇帝もまた、賢帝で。
素直に思った。
父が、この皇帝を害することがあれば、この皇帝が愛し、守りたいものを傷つけるのであれば、我が身を道ずれにしてでも、絶対に地獄へ送ってやると。
その覚悟で、常に後宮では笑い続けた。