「……祐鳳」


「はい?」


「ありがとう」


「?」


「貴方を護衛に選んでよかった。私の目は、間違ってなかったわ」


そう言って笑うと、一瞬止まった後、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられて。


「夕餉、食べます?」


と、尋ねられたので。


「食べる!そして、明日、露珠のところへ行くわ」


「はい。お供しますよ、どこまでも」


過去を振り返っても、何も出来やしないなら。


自分の命をかけて、祐鳳が自分を守ってくれるのなら。


命を捨ててまで、自分を守ってくれた人がいるのなら。


その人たちに見合う、人間になりたい。


何のために生きるのか、今の自分にはわからないけど。


「必ず、見つけてみせるわ!」


「?、頑張って下さい」


―いつか、いつか。


この人の志に見合う、主にもなりたい。


この人が、生涯の主で良かったと、思ってもらいたいから。


「祐鳳」


「はい、なんですか。灯蘭様」


中断したお茶入れに戻った祐鳳が、不思議そうな顔で振り返るから、


「……私、頑張るわね」


そう言って、腕まくりすると。


「はぁ……俺の手に負える程度に、無茶してくださいね」


と、苦笑いを返された。