「……翠蓮ちゃん、本当に黎祥と結婚するつもりはない?」


「…………そういう冗談を言いたいのなら、結凛の所へ行ってください」


趙さんといい、結凛といい……どうして、自分たちをくっつけたがるのか、翠蓮には全く理解できなかった。


「冗談じゃなくて」


けれど、今日は引き下がる節がない。


「?、恋愛感情はないの。何度も言ってるじゃない」


「ここで、夫婦で経営していくのはダメなのかい?」


「ダメとかじゃなくて……私、黎祥の身の上のこと、何も知らないもの。黎祥のことを探している御家族がいらっしゃるかもしれないでしょう。匿うって話で、黎祥はここに居るけど……帰るべき時が来て、黎祥が帰ると言った時、私に引き止める権利はないし、引き止める理由を作りたくないの」


もとは、そういう約束だったから。


「そうかい」


「なんか、ごめんね?心配してくれているのは知っているけど……今度はちゃんと、頼るから」


趙さんは、父親代わりみたいな人。


祥基もだけど……自分は人に恵まれていると、本気で翠蓮は思っていた。


趙さんを見送って、新鮮な野菜で昼餉を作ろうと準備していると。