「……助かりました。親王殿下にこんなことを頼むなんて……お手数をお掛けしました」
「気にしないでください。もう、領地に戻ることになりますが……いつでも、お手伝いします。命を救ってもらった恩は、一夕一朝で返せる恩ではありませんので」
「大袈裟ですわ。でも、そう言って貰えると……私は後宮で生きていける気がします」
「翠玉……」
後宮から離れている間、父の身分を知った。
もし、父が皇族でいることを甘んじて受け入れていたならば、秋遠様たちとはいとこ同士だったことになる。
そのせいもあってか、今は少し、ここが怖い。
『お母様ね、こわーい人に連れ攫われそうなったの。それを、父様が救ってくれたのよ』
母様が言っていた、あの言葉は……後宮から、ではないのか。
怖い人という単語に怯えて、身を寄せあっていた翠蓮たちを見て、両親は何を思っていたのだろうか。
「今は自分のことより。……雄星様のことが気になります。元より、身体は弱いのですよね?」
「え、ええ。雄星を身ごもっている際、順徳太妃は毒を盛られまして―……」
「……」
灯蘭様が引きこもっていることに関しても、気になる。
雄星様が血を吐いて倒れて……灯蘭様は、何を見た?
栄貴妃様の、話したいこととは―……。
そして、流雲様。
音を立てて、何かがはまってく。

