【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―




「練家は古来より、我が皇家を支えてくれた家ですからね。今後の活躍と忠誠の証として、姉妹を一人、下賜するだけで……」


特に深い意図はない、そう続けようと思ったのだが。


ドンッ、と、体に衝撃を感じる。


下を見ると、鏡佳姉上が抱きついてきて。


「ありがとうっ!」


―お礼を言われた。


その笑顔は華やかで、記憶の限り、黎祥が考えるには初めての姉の笑顔。


「最初、貴方を見た時は……同じ父を持つとは思えなかったの。だって、すっごく怖かったもの!」


かなりの歳なのにも関わらず、少女のような感想を述べる姉の純粋さ。


父のことを知っている姉上は、黎祥を初めて見た時、驚いたそうだ。


その姿は、あたかも生き写しのようで。


「お父様はとっても、とーっても、優しい方だったけれど、貴方は怖かった。同じ見た目で、それは無いわよ!と思ってたんだけど……優しかったのね。勘違いして、避け続けてごめんなさい」


頭を下げられて、


「仕方ありません。こちらが怖がらせたようなものですから」


そう、黎祥が穏便に終わらせようとしたのに。


「避けるって……大人気ないな、鏡佳」


はぁ、と、何故か、流雲兄上がため息。


「なっ、だって!血塗れよ!?血塗れ!!誰の血かわからないくらいの!誰だって、驚くわよ」


「驚くのは無理ないとしてさ、そこで、気絶する?普通」


「煩いな!流雲兄様が異常なのよ!!」


「異常って?殺される寸前なのに、笑ってたこととか?」


「異常!すっごく異常!!」


「あら、でも、それなら、私だってそうよ?殺されるかもしれなかった点では、同じだもの〜」


「麗宝姉様は黙ってて!」


「陛下はかっこいい方です!」


「そうだよ!黎祥兄上は尊敬出来る―……」


「あんたら二人は幼かったでしょうが!」


「ちょっ、鏡佳姉様……」


「……っ」


「灯蘭と露珠も黙る!」


大きな声に、ビクッと身体を揺らした露珠は、直ぐに灯蘭の後ろに隠れてしまって。