「―翠蓮!?ここにいたのか!」


流星さんと入れ違いになるように顔を出した、祐鳳兄様は汗だくで、返事をしなかったことを怒っているみたいだったけど、立ちすくむ翠蓮を見て、何かを感じとったのだろう。


「……どうした?大丈夫か……?」


ゆっくりと近づいてくると、そっと、翠蓮の目元に触れて。


「兄様、私―……」


翠蓮は、兄に縋りついた。


行き場のない不安が、翠蓮を襲っていた。