「…………私も、似ています」


「え?」


「初めて、愛を教えてくれた人に。貴方が―……今でも愛している人に、とてもよく似ています」


彼を見ていると、黎祥を見ているようだ。


あと数十年経てば、彼もこんなふうになるのだろうか。


貫録に満ち足りて、偉大な皇帝だと仰がれるようになるのだろうか。


いつか来る、その日が楽しみだと思いつつ、彼の隣に立つ女性を想像しては、嫌な気持ちが芽ばえる。


「結ばれない相手なのに、想いは募る。困っちゃいますよね、諦め悪くて」


あの時は、すぐに忘れようと誓ったのに。


もう、一年経つよ。


消えない想いは、今でも翠蓮を侵食して。


そんな自分に嫌気がさして、


右手で左手を強く握って空笑いすると、


「……その想いは、大切になさい」


白く、少し、皺のある手が伸びてきて。


翠蓮の右手を左手から離すと、少し赤くなった左手を優しく、優しく、流星さんは撫でてくれた。


「その心にある、その想いは消さずに大切に育てなさい。いつ失うかわからないのだから、自ら捨ててはならないよ」


そして、まるで、身に覚えがあるような口調でそう言う。


「身分とか、そういうものはどうにでもなる。君は白蓮の娘だからな。相手がいれば、強くいられる。片方が欠けたら、崩れ落ちてしまう。……黎祥は、そういう子だ」


そして、黎祥をよく知るような口調から、きっと黎祥とも話したこともあるんだろうと思った。


どこでそんな機会があったのかはともかく、流星さんの優しい微笑みはまるで、黎祥に……愛し子に向けられているようだったから。