「―下がっておれ」


現れた小さな童女は、優しく微笑む。


「もう、大丈夫じゃよ」


振り仰ごうとすると、目の前が翳る。


「……のう、あんまり、翠蓮を虐めんで貰えるか」


「翠蓮を、泣かしたらだめ、だよ……」


「例え、貴方でも許せないことはあります」


「飛龍、飛燕、飛雪……」


現れて、翠蓮を守るように前に立ちはだかってくれた三人は流星さんを睨みつけて。


「三人とも……どうして、……っ」


「翠蓮が、呼んだような気がしたのじゃ」


「泣かないで、翠蓮……」


「飛雪が、一緒に泣いてどうするのじゃ……」


「ねぇ、この不届け者、吹っ飛ばしていい?飛燕」


「お前は、少し落ち着け。飛龍」


心配そうに、一緒に涙を流してくれる飛雪。


「―そなたの、"本当”は暴かぬ。じゃから、翠蓮を揺さぶるのはやめておくりゃれ。何も知らぬ、わしらの"主”じゃ。手を出すと、眠るあやつらも、起こさねばならぬ」


飛燕は流星さんに近づくと、そう言った。


「翠蓮、じゃあ、君、……君が……」


「流星っ!」


「……言わないよ。…………そっか。知らなかったのか。それは悪いことをした。この通りだ」


流星さんは、深く頭を下げてくる。