父が、先々帝と兄弟だったというのなら……数多くいる、業波帝の皇子だったというのなら……つまり。


「そういうことになるかな。現皇帝とは、従兄関係だね」


父の行動次第では、翠蓮達は王女だったということになる。


「…………………ぅ……て?」


「翠蓮?」


「どうして、父は……」


どうして、皇族をやめたんだろう?


やめなければ、父は死ななかった……?


「翠蓮……?」


「それは、つまりっ!」


「……」


流星さんは、驚いた顔をした。


―これは、怒りだ。


涙は溢れているけれど、これは、怒りだ。


怒りにより、溢れる涙だ。


「父は……身内に殺されたという事ですか……」


足の力が抜ける。


父は何も悪いことをしていなかったのに、どうしてって……弱っていく母様を見ながら、先帝を恨んだ時期があった。


恨んでも、恨んでも、遠い存在だからと、諦めることしか出来なかった復讐心。


黎祥に出会って、愛して、遠い存在として、黒幕を捕まえたら、全てが終わると思っていたのに―……。


座り込んで、涙があふれる。


流星さんは少女を下ろすと、近寄ってきそうになって……。


「っっ……」


涙が止まらない。


人前で泣くことは嫌いなのに。


止めようとして、息が詰まる。


そんな時、そっと、肩に触れる手。