【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―

***



「下町にも、救済施設を?」


「うん、ダメかな?」


妃修行に明け暮れる中、勿論、翠蓮がいない間に切れた薬の補充作業などもやらねばならないわけで。


麟麗様たちの力を借りて山に薬草を取りに行ったり、


近くに住むおじいさんおばあさんの手伝いをしたり、


荒れた家の解体作業や、


前に通っていた家に、再度訪問したりとか……


まぁ、大忙しの中。


薬を作っている中で、翠蓮が漏らした一言に慧秀兄様は考え事を始めた。


「それは、国のお金で?」


「まさか。嵐雪さんに頼めば、そりゃあ、国のお金でできるような手筈も整えてくれるだろうけど……そんな迷惑はかけないわ。慈善事業みたいな形でさ。麟麗様達にも、薬の作り方は伝授していくつもりだし……そこに来れなかったら、私たちが動けばいいじゃない?でも、私たちも人間だから……駆けつけられた時、家にいるとは限らない。だからこそ、必要だと思うのよね。誰か一人、そこに残っていれば、すぐに対応も出来るでしょうし」


「……なるほど」


祥基、慧秀兄様、祐鳳兄様に、麟麗様、双子の宵琳様と叡季様も加わって、人も増えたことだし。


出来ないことは、ないと思う。