「……そろそろ、目覚めの時じゃよ」


ひんやりと、冷たくなった宮殿の中。


白い息を吐きながら、飛燕は"それ”を見上げた。


「…………長らく、孤独にして、すまんかったの。志輝」


志輝と呼ばれた青年は筆を片手に、


「長かったね」


と、微笑んだ。