「灯蘭様、有難い御言葉ですが……」


正直、蘇貴太妃とは気の合わない気がするので、全然、関わらなくていいのなら、万々歳である。


断られてたのだって、かなり前から知っている話だし……患者選びはしない主義だが、相手が医者選びをしているので、何も言えない。


「何よ!翠玉は、悔しくないの?」


肩で息をしながら、尋ねてくる灯蘭様。


「悔しいも何も……」


それ以前の問題で……


「そりゃあ、順家は劣ってるわよ!でも、今は蘇家よりも力強いし!!」


でも、灯蘭様の耳には届かなくて……。


「あの、灯蘭様……」


「お父様の高位の妃だったからって、威張ってるんじゃないわよ!私のお母様だって、かなり高位よ!大体、正妻にもなれなかったくせに!!位や政治感覚では柳皇太后に負けてたじゃない!挙句、変な噂とか流してさ!!お兄様……陛下の御母堂様からだって愛情を奪えなくて、湖烏姫には容貌で負けてるし……お父様の興味を引くものを何も持っていなかったじゃない!結局、負け犬の遠吠えじゃない!」


「……」


ダメだ。


通じない。


怒ってくれるのは嬉しいが、論点はズレまくっている。


恐らく、もとより、蘇貴太妃のことが嫌いなのだろう。


「―ああなってしまったら、灯蘭を止められるのは祐鳳だけですわ。あの子は些か、蘇貴太妃を嫌ってまして……お見苦しいところをお見せしましたね」


呆気に取られてると、横に来た順徳太妃が柔らかく笑って。


些か、という点に首を傾げるが、まぁ、良い。


灯蘭様の全然公主らしくない所は、既に把握済みだ。