「……お気づきの通り、私の両親は先帝とその皇后の三美(サンビ)。私は……先帝の第一皇女です」
重い口調で、彼女は告げた。
まるで、処刑を待つ罪人のような、そんな重い声で。
「鈴華様は……」
「鈴華は同母妹ですわ。先帝の第四皇女です。双子は……確認できている限りならば、叡季は第三皇子、宵琳は第六皇女。双子の母親は分かっておらず、母が嫉妬の末に産まれたばかりの双子を母親から奪い取ってきたのです」
舞姫だった先帝の皇后は、先帝に最も愛されながらも、とうとう皇子を産むことが出来なかった。
先帝が遊びで手をつけたにも関わらず、男の子を産んだ双子の母親を許せなかったのか。
双子のことが上がってないということは、恐らく、皇后・三美に母親は殺されたか、先帝の寵を受けたことが本意じゃなかったかのどちらかだ。
「私や鈴華はともかく、双子は可哀想に思います。母が余計なことをしなければ、母親の愛情だけでも受けられたでしょうに……」
後宮において、まず、無事に生まれることが出来たこと自体が奇跡である。
この双子の母親は、先帝の一夜限りの愛情が本意だったのかは知らないが、一体どういう気持ちでこの子達を産み、引き離されるのを見送ったのだろうか。
想像するだけで、胸が痛くなる。

