「琳、ちんだ?」


「死んでないよ。熱があるだけ」


「薬!」


「分かってる。だから、薬をこっそりもらいに行こうとしていたんでしょう?」


必死に訴える叡季くんに、彼女は言い聞かせる。


「えっと……」


「ごめんなさい。後宮に仕えている方よね。叡季が迷惑をかけてしまって……麟麗(リンレイ)と申します。年は、十五。この子は鈴華(リンカ)、そして、寝込んでいるのは宵琳(ショウリン)……この子は、叡季。宵琳と叡季は双子で、年は三歳」


豊かな黒髪。


そして、赤い瞳。


美貌はどこかしら、黎祥を、灯蘭様を思い起こさせる……。


二人があわさった完成系のような美人さんだ。


「順翠玉です。翠玉と、お呼びください」


「順翠玉って……最近、名前を馳せている、あの?」


「そんな大層なものではありませんわ。宵琳様ですよね。少し、見てもいいですか?」


褥に横たわる幼子は、どうにかして熱を下げようとしたのか、いろんなものが周囲においてあって。


臥台はひとつしかなく、見る限り、まともな食事もなさそうで……治るものも、これでは治らない。