だから、"才伯”は処刑した。
彼の"似た人”は、皇家とは無関係だ。
「とりあえず、才伯は死んだとして……第五皇子は、豹揮(ヒョウキ)兄上だったか」
「第五皇子の豹揮様は、行方不明となっておりますよ。悪行の酷くなった、先帝の晩年に……同母弟の第八皇子の清宸(セイシン)様と共に」
「母親は……柳皇太后だったか」
「はい。噂では、先帝によって命を狙われたと」
「何?」
「それで危惧した柳皇太后自身が、市井に逃がしたらしいですよ」
「それは、噂なのか……?」
「ええ。まぁ……柳皇太后様御自身にお聞きしたところ、本当らしいですけど」
「…………聞いたのか?」
側近の仕事の速さと無神経ぶりに、愕然とする。
「聞きますよ。そりゃあ……本当ならば、そう処理しなければなりませんし。市井に逃がされたのは、四年ほど前……幼いこともあって、もう、覚えてもいらっしゃらないのではないでしょうか。御自身が、皇家出身のことは」
確かに、その通りである。
第五皇子はともかく、第八皇子の記憶は怪しい。
何故なら、第九皇子の雄星とほぼ、変わらぬときに生まれてきているらしいから。

