「……助けてください」


辛うじて漏れた声に、


「はい」


と、彼女は笑った。


その笑顔には光満ちていて、黎祥が執着した翠蓮殿の存在の温かさに、あの人を重ねてしまう。


『嵐雪、黎祥を頼む』


―彩蝶様、彼は出逢われました……。


孤独の城から、連れ出してくれる唯一無二を。