「はい。適当量であるなら、薬となるものです。ただ、少し間違えると猛毒となり……全身は焼け爛れ、目は見えなくなり、呼吸も出来なくなっていきます。伴うのは、高熱と吐血ですね。他にも腹痛などもあり、一瞬で人を殺す劇薬です」


焼き爛れて、二目と見れない容貌になるかもしれない。


どこかを、切り落とすことになるかもしれない。


「どうすれば……」


宮正司が、顔色を変える。


翠蓮は畳み掛けるようにして、言う。


「今すぐ、皇帝陛下に話をつけてくださいませ。毒にお倒れになられた方……いいえ、寝込まれている方を始めとして、一箇所に集めていただきたいのです。体力がなければ、少しでも口に含めば、一瞬で命を失いますから」


「けれど、どこにそういう場所が……」


「そこは順内閣大学士や、皇帝陛下にお任せ致します。なので、なるべく早めにお願い致します」


黎祥に会う訳にはいかない。


会ってしまったら、きっと想いは溢れ出す。


忘れられていないのに、他人の振りなんて出来る気がしない。


それでも、栄貴妃が疑われるのも耐えられない。


「翠玉、どうするつもりなの……?」


毒の作用を聞いた栄貴妃が、震える声で尋ねてくる。


翠蓮は、


「黒幕を見つけ、幻芳珠を止めさせます」


と、微笑んだ。