「ごめんね、結花。またあたし出会っちゃったの」


「うん。知ってるよ。でも、何を話にきたの?」


「うん?いままでは、向こうが勝手に好きになったじゃない?今回はあたしも好きになってしまったの……だから、あなたと別れたあとにあたしと一緒になる約束をしてる。子供のことが気になるみたいだから、あたしが風音ちゃんを引き取ってもいいわよ」


「やめて!風音だけはやめて!!!」



あたしの言葉に顔面蒼白になった結花は走って家の中に入っていく。



「でも、風音ちゃんのことだけは気がかりみたいだから。もちろん、結花のことは気にしてないわよ。風音ちゃんさえいなかったらもう別れてる……というか結婚もしてないか」



つらつらとこんな嘘が出てくる自分が可笑しくて。
そして、いつもあたしより先に好きな人に好きになられる結花の顔が青くなっているのが嬉しくて。

ふつふつと笑いがこみ上げてくる。



「何がおかしいの!?子供を!自分のお腹を痛めて産んだ子を自分の手から離したくなくて何が悪いの!?」



結花の顔はいままでにみたことないほど、鬼の形相をしていた。
この顔をみたら、本田さんの愛も覚めるんじゃなかなって思った。

だから、早く帰ってくればいいのにと思った。