「もしかして、怒ってんの?」



くくくっと可笑しそうに笑う桜木。



「うるせーよ。あぁ、怒ってるよ。悪いかよ」



桜木にムカついて、開き直る。



「まぁまぁ。俺と結花ちゃんはベッド使ってませんよ?」


「使ってたら殺してるわ」


「俺としちゃえばいいじゃんとは言ったけどね。同じように」


「はぁ!?」



ありえない桜木の言葉に身を乗り出してしまう。



「でも、断られたよ。あーあ、俺が結花ちゃんと付き合えば関さんの興味が俺に移ると思ったのに」


「お前、だからってありえねーだろ」



冗談ぽく言ってるけど、桜木の気持ちはわかってる。
俺が結花に一目ぼれしたのと同じで、コイツも結花に一目惚れしたって長年一緒に居るんだからそれぐらいわかる。

俺にいつも泣かされてる結花をみるたび、桜木が辛そうな顔をしていることも。

桜木のためにも、もう同じことは繰り返すわけにいかない。

たとえ、もう結花が許してくれなくても。
俺は、一生をかけて、あいつに思いを伝えていくよ。