確かにそうだ。そうだけど、こういう気持ちってどうにもならない。


 じゃあ、今日から気にしないなんて言っても何かのきっかけで思い出して落ち込む。
 落ち込んだら、なかなか前向きになれない。今みたいに。



「まあ、何にしてもさ。毎朝、一緒に電車乗って素直に笑ってくれたら……それが一番だ」

「笑うかなぁ」

「雪乃の笑顔、オレは好きだ」



 食べかけのケーキを落とすところだった。
 そうやって言う秋くんの爽やかな笑顔の方が素敵に決まってる。


 ……好き。



「ねえ、秋くん」



 駄目。止まって。
 これ以上は駄目だよ。


 どのタイミングで言おうとしてるの。


 だって、そんな……。


 こんなにあっさり気持ちに気づくなんて思わなかったから。



「どうした?」

「あのさ」



 駄目だ。止まらない。



「わたしが秋くんのこと、好きだって言ったら嬉しい?」



 どうして質問する形になるの。
 どうして逃げ道を作って自分を守ろうとしてるの。


 本当に最悪な、告白だ……。