・・・


 天気は曇り空。悪くない。
 気持ちは晴れてる。とてもいい感じ。


 ただ、問題は一つ。



「待ったか?」



 待ち合わせ場所に来た秋くん。カッコよく手を振るけれど、わたしは持っていたカバンを落としそうになった。


 黒いTシャツにはなぜがワンポイントにドクロマーク。羽織っただけのシャツは赤で目立つ。
 ジーパンはまあいいとしても、ダサい。服がヤンキーそのものじゃない。


 張り切って大人っぽく見えるワンピースを着て、カーディガンを合わせて、バッグも唯一持っているブランドものを引っ張り出してきたわたしは……何?



「昼飯は食べてきたんだろ? じゃあ……」

「秋くん、お願いだから着いてきて」

「は? 何?」



 訝しむその顔がヤンキーそのもの。
 駅前で絡まれてる女子に見られてるの、気づいてないでしょ。



「おい、どこに行くんだよ」

「すぐそこ!」

「今日は雪乃と……」

「デートなんでしょ? だったら、それをまず何とかして」

「それ?」

「服がダサい! ヤンキーそのものじゃない!」