「いいのか?」

「もちろん!」

「うわ、マジで助かった!」



 意外な言葉に、わたしは秋くんをまじまじと見てしまう。
 実は困っていたの?



「高認試験の過去問見たんだけどさ、さっぱりわからなくて。聞けるやつはいないし、塾だの学校は無理だし」

「悩んでたの?」

「ちょっとな」



 言ってくれたらよかったのに。
 わたしたち友達なんだよ。そりゃ、ちょっと疎遠になっていたけどさ。



「どうした?」

「ううん。嬉しい。じゃあ、これからの計画立てなきゃね。今日はもう時間ないし、あとで連絡しても大丈夫?」

「ああ、待ってる」



 すっかり冷めてしまったカプチーノに口を付ける。


 冷めているはずなのにとても温かい味がした。
 ほろ苦い珈琲と柔らかいミルクが重なって、嬉しさと切なさが混じり合うような……そんな口当たりだった。