「実はさ、高認試験受けようかと思ってる」

「高認試験?」

「会社が高認試験合格したら任せたい仕事があるって言っててさ。給料も上がるし、多分一人暮らしも出来る」



 明るく話してくれる秋くんは未来を見ている。将来を考えて行動している。


 わたし、そんな秋くんに憧れてる。
 たくさん悲しいことがあったのに、いつも前向き。そんな彼がカッコイイと思う。



「それ……」

「ん?」

「受験勉強、わたしに手伝わせて!」



 秋くんを苦しめてしまったことに、ずっと責任を感じていた。だから、少しでも力になりたかった。


 違う。助けたい。


 わたしはずっと助けられてばかりだったから、今度はわたしが――――。



「だって、雪乃も大学受験控えてるだろ」

「同じことだって。勉強する範囲そう変わらないよ」

「でもな……」

「やらせて。お願い!」



 本当は秋くんに会う口実が欲しいかもしれない。
 この罪悪感が少しでもなくなることを願っているのかもしれない。


 全部、自分のためじゃない。
 本当に嫌な女。