「秋くんの最寄り駅。あそこに喫茶店出来たって聞いたんだけど」
「そういえば駅前にあったな」
「行きたい」
素直に言ってみれば秋くんの頬が少し色づく。
恋人とか、好きな人ってわけじゃないけど。こういう友達みたいな関係が好き。
何か、男子とよく遊ぶ夏海の気持ちがわかってきた。
「女子ならカフェとかの方がいいだろ」
「秋くん、甘いもの苦手でしょ?」
「そうやって人に気遣ってばかりいると疲れるぞ」
「性格なの。ほっといて」
言うと秋くんが噴き出して笑う。
何だろう。ちょっと可愛い。
「誰かとどこかに出かけるの久しぶり」
「あれ。夏海は?」
彼の口から飛び出した名前に少し胸が痛む。
「生徒会長に時間あると思う?」
「あー、確かにな」
そんな会話を繰り返しながら電車は目的の駅に辿り着く。
あまり降りない駅だから、方向がわからなくなったわたしを秋くんが案内してくれた。
バカにしたように笑いながら、わたしの手を引いてくれる秋くん。
後ろ姿が大人そのもので、時間の経過を思わせる。
わたしだけが置いていかれて、流れに逆らって立っているみたいだった。



