夏海は知っているみたい。学校で飼われているとか? そんなことないか。気まぐれで来ちゃったか、迷子かな。



「シロってネーミングセンス単純すぎない?」

「ホワイトにする?」

「そういうことじゃないって」



 わたしはその白猫を抱き上げる。種類はよくわからないけど、毛が短くてキリッとした目がカッコイイ。



「オスだね」

「雪乃、えっちー」

「コラ! 動物見たらとりあえず確認するでしょ」

「そう?」

「家でわたしも猫飼ってるし、何となく?」



 猫か。家にいるのも白。だけど、尻尾と耳だけ茶色いんだよね。あの子はメスだけど。



「夏海。この猫は?」

「去年くらいから学校に居座ってるみたいよ。モジャが言うには、追い出しても帰ってきちゃうらしくて。今じゃこの高校のマスコットってところ?」

「ふうん」



 この子にとっては楽しい場所なのかな。人はいっぱいいるし、みんな構ってくれるもんね。



「会長! 終わりました!!」



 猫に構っているうちに、後ろでは椅子の片付けや飾りの撤去が終わったみたい。