ーーーーピピピ、ピピピ、ピピピ…



けたたましく部屋中に鳴り響くスマホのアラーム音。

目を開けた瞬間から憂鬱な気分に襲われたのは、間違いなくさっき見た夢のせい。



記憶から消し去りたい、私の初恋の夢だ。


幼い頃、近所に住んでいた一つ年下の夏樹。

本当は夏樹のことが大好きだったのに…
この難ありな性格が邪魔をして、
あの頃の私は正に天邪鬼そのもの。


好きなものを嫌いと言い、
嬉しいことを面倒くさいと言い、
楽しい時間をつまらないと言って。

そんな可愛さの欠片もないような子供だった。



だから、夏樹が遠くに引っ越しちゃったあの日だって…



『彩芽ちゃん、だーい好き』

『き、嫌いっ!』




初恋の相手からの突然の告白に嬉しさと恥ずかしさが入り混じった結果、天邪鬼を大発揮させてしまった。

一蹴した挙句に泣かせてしまうという何とも最悪なお別れになってしまったことは、今でも密かに後悔してる。