私が星田書店へ行くと
もう既に御曹司は待っていた。
希「すみません。お待たせして。」
私の事なんて気にも留めず
タクシーを拾った
御曹司は閉館後の
美術館へとやって来た。
こんな事、言うのは失礼だけど
私は絵画になんて全く興味がない。
絵を眺めて何が楽しいのか分からない。
だけど、御曹司には口が裂けても
そんな事言えないから
とりあえず館内を一周した。
30分足らずで全ての絵を
見終わった私とは違い
御曹司は熱心に絵を見つめていた。
ここに来て一つだけ
良かった事は御曹司の
こんな表情が見られた事。
切なくて優しい微かな笑み。
本当に御曹司は絵が
好きなんだなって思った。



