エスポワール~私と御曹司~


お兄ちゃんの友達とはいえ
仮にもお兄ちゃんの隣に座るこの人は
私の上司なのだから、初めに
食べたい物を聞くべきだった。

希「あの...えっと...」

しまった。呼び名を決めてなかった。

お兄ちゃんのいる前で部長と
呼ぶのは何だか違う気もするし
かと言って、御曹司は尚更違う。
あなただと冷たい感じにも
馴れ馴れしい感じにも聞こえてしまうし
そもそもこの人の名前は知らない。
ここは無難に神楽さんでいいのかな?
名字なら普通なのかな?
だけど、いきなり呼んだ事のない
名字で呼ぶのもどうなんだろう?

希「...何、食べますか?」

望「さっき随分と頼んでたから
それで十分だと思う。」

希「そう...ですよね。」

何だか、とてもやりづらい。
お兄ちゃんと2人なら気兼ねなく
この場を楽しめるのに
この人がいると...ってそんな事
言っちゃいけないよね。

お兄ちゃんを心配して...
てゆーか、そもそも
御曹司に言われなければ私は
お兄ちゃんを迎えに行く事すら
なかったのだから。