「譲、起きろ、遅刻するぞ。」

目が開いた。
ベッドの横に立ち見下ろしてる大場。

今日は何曜日・・・・・・・・。
あれ?休日・・・・・・。
なんで、シャツ?ネクタイ?

「譲、家に行くんだろう、忘れた?」

ガバッと起きた。
当然隠したい姿に気がついて、すぐに体を隠す。

「何で、何時?」

「予定出発時間30分前。」

「なんで、もっと早く起こしてよ~。」

「起こしたよ、返事もしたし、てっきりシャワー浴びてると思ったのに。待ってても出てこないし。」

知らない。

急いでタオルを見つけて、体を隠すようにして外に出た。

「忘れ物。」

小さな布の塊を指さされた。

ムッとして拾い上げてダッシュでシャワーを浴びて、顔を洗って、身支度をする。

リビングに行ったら、すっかりくつろいでる大場。

ご飯は向こうでいただくことになっている。

『お昼をご一緒に。』と言われたから。

だいたいお兄さんに会う約束だったのに、なんでご両親まで揃うの?
元百瀬さんの大場さんにお礼を直接言いたかっただけなのに。
恥ずかしくて他の人の前では自分からは言えない、勝手に変な誤解をして、会社の非常階段でほこりにまみれて一人サボって泣いてましたなんて・・・・。

それに服にも気を遣うじゃない。

自分の部屋にもっとふさわしい服だってあったのに。
昨夜サラリと言われてパニックになったのに。

すっかり予定を忘れて寝坊したから大きい声では言えませんが。


「どうかな?」

一応聞いてみた。
これが今日の私のマックス状態の仕上がりです。

大場が上下往復二回。
笑顔で褒めてくれた。

「うん、誤魔化せてる。」

褒めてくれた・・・・褒めて・・・・。

「いいんだよ。可愛いから。気に入られるって。どうせいろんな話はお互い報告されてるから、誤魔化せないし。俺だって絶対バレてる。いろいろバレてるから。」


みゆきにも教えてない特別な予定。
もともとはそんなに特別な予定ではなかったから。

教えたら、驚いた後、絶対期待するよね。