ビルを出て、歩く。
海を見ながら少し歩き、途中から街中に入り、駅をくぐると大きな門が見えてきた。

「結構歩いたな。たくさん食べても、また戻るまでには消化されるかもしれないな。」

私よりお腹に言ってる気がする。
視線が下を向いてるし。

「大場、誰と話してるの?」

「早起きしたお腹。」

「何か答えた?」

「うん。デザートは別腹だって。」

「奢りならって言ってる。」

「了解。」

沢山のお店が連なる。

「本当に最初からあんまん?」

「ダメ?」

「食事は?」

一緒に歩きたい。とにかく手をつないで歩きたい。
座って食事なら部屋でもできる・・・・。
じっと見上げる。

「まあ、いいよ。お腹空いたら、そう遠慮しないで言うだろうからな。」

頭の後ろを撫でれらた。

下ろされたその手を取って歩き出す。

中央あたりだろうか、何人も大きなあんまん、肉まんを食べてる人がいる。

「大場、この松の実入りが食べたいの。もしかして、肉まんの方がいい?」

「いや、あんまんでいいよ。半分でいいんだろう。」

「うん、一個は無理。」
・・・・と思ってもらいたい。
コンビニのものとは大きさが違う。

一つを買って持ってもらう。
熱そう、中の餡もきっと熱いから。
少し歩いて壁際に立つ。


視線はちょっと上のあんまんに。
大場の手の中のそれに。
少し冷めるのを待つ。

「譲、お預けの犬みたい。」

「良し!」

そう言われて半分割って紙に包まれた方をもらった。

「美味しそう、まだ湯気が出てる。」

大きく一口。

満足の笑みで見上げる。

「久しぶり。」

「やっぱ、うまいな。」

うなずく。

「なあ、凄い近いけど。」

そう言われてびっくり、自分でも思った。
何でこんなにくっついてた?
手に持ったあんまんにつられて、冷めるのを待つ間にくっついた?
ほとんど足の間に立ってる感じでした。

「早く言ってよ。」

残りを食べきってゴミを丸めながら離れた。

「お預けの犬みたいだって言ったじゃないか。そんなに餌が欲しいのか?ってレベルの『待ち』の姿勢だった。」

ゴミは結局取り上げられて、買って来たお店の横のゴミ箱に捨てた。

空いた手をつないで少し歩く。