「ねえ・・・出かけたい。デートしたい。」

「いいよ。準備するか。」

分からないことは分からないままで、先の事だから、しょうがない。
今日は夜景を見る日。あんまんを食べる日。他にもなんだか楽しみたい日・・・・。

電車を何度か乗りかえて海が見えるところまで来た。

「お腹空かないな。少し歩いて食べながら暗くなるのを待とう。ある程度は並ぶだろうけどな。」

指を指したのはシンボルともいえる観覧車。

昔友達6人で乗った。
二人だと広すぎるくらいだと思う。

せっかくだから暗くなってから乗ろうと、大きなタワーの上の階のカフェへ行く。
窓側は空いてなかったけど、離れた席でも窓いっぱいに空が見える。
海の青と空の青が遠くでつながる。

窓際だと近くの建物も見えるかもしれない。遠くからだとそれすら無くて青一色。


いい天気。でも早く暗くならないかなあ。

「やっぱり早起きし過ぎたね。」

「だろう?誰かの腹時計はその辺の調節機能がダメだな。大好きな彼の寝顔を見てても腹はふくれないってタイプだったんだな。残念。」

自分で言うか?
そんな質量のないもので空腹が満たされるわけがない。

「まあ、分かってるけど。」

じっと見ていた私の視線に勝手に応える大場。
確実に色気より食い気だろうなって思われた今。


回転率の悪い店内。観覧車に乗らなくても、暗くなるまでここにいたいカップルはたくさんいそう。

「あんまん、先に行く?」

「行く。」

声を出さずに笑われた。
色気なし。食い気あり。
でも言ったじゃない。半分食べたいって。一緒に半分づつ食べるのがいいんだから。