「可愛いなあ、譲。鬼のようなやきもち焼きでも、許すっ。」

後ろから抱きしめてそう言う。

完全に見誤ってる、勘違いだし。

今、お風呂に入るからパジャマ貸してとは言えない・・・・。

黙ったまま、じっとしていた。

何で二箱買って来たんだろう。
いつもお店で買う派なの?
恥ずかしくないんだろうか?

巻き付いた腕に触れた。
ゆっくり腕が離れて向きを変えられて。

キスをする。

ソファに座りながらキスのが聞こえる。
テレビの音よりずっと近くで聞こえる。

「誰かに誘われたら、ちゃんと言えよ。彼氏が鬼のようにやきもち焼きだって。だから行けないって。」

「誘われないから。」

「ヘラヘラ行ってたくせに。」

おでこをつけて、目の前にある顔が怖い目をする。

「先輩だもん。みゆきと一緒だよ、友達みたいなものだから。」

「譲はそうでも、向こうは違ったじゃないか。・・・・鈍感なんだから。だいたい、俺のことだって全く気が付かなかったくせに。」

そう言われた。

目が合わなくなったのが先か、目を閉じたのが先か、唇が触れたのが先か。


さっきまでお腹いっぱいで眠くて、半分寝てたくらいで、動きたくなかったのに。
飛びつくようにソファに乗り上げて体をぺったりとくっつけるようにする。

「大場・・・・。」

「何?」

「大好き。」

「知ってるって。」

満足そうに笑う。

「考えたのに。」

「何を?」

「明日行きたいところ。」

「まだ今日が終わってない。明日聞く。」

「・・・・分かった。」



パジャマは借りれた。
必要ないのにってしぶったけど、借りた。

「やっぱ似合うな。」

また言われた。

自分を見る。
この間のパジャマと同じ?

週末は日曜日までのんびりしたい。
ずっと・・・ここにいる?