ズルッズルッ・・・。
部屋に響くカップ麺の音、広がる匂い。
適当にかごに入れたけど、なんだかおいしい。

鼻の頭を熱くしてすする。

「譲、ちょっとくれ。うまそうな音立てて食べるよな。」

箸を持ってカップを渡す。

その間に大場が食べてるピラフをもらう。
日本は1人暮らしにも親切だ。
3分あれば十分に美味しいご飯が部屋で食べられる。

ちょっとだけ拗ねて美味しい夕ご飯が吹き飛んでも、何とかなるのだ。

2口ピラフを食べて、そんな事を考えてカップ麺が戻ってくるのをぼんやり待っていたら・・・。
気が付いたらカップがかなりの角度で傾いて大場の顔の上にあった。

何~!!

スープも飲み干して満足そうにべろりと唇を舐めた大場。
コトンとテーブルに置かれたカップは『完食』という音がした。

中をのぞくまでもない。
1センチの麺の切れ端さえ残ってない。
かろうじてネギが小さく2つ、緑色を残しているくらい。

「酷い、全部食べた~。」

「ああ、うまいな。・・・・・ん、何だよ、半分も残ってなかったぞ。」

ジト目で睨む私に気が付いて、お礼よりも言い訳をする大場。

「何で、私が買ったのに。」

「残念だがお金を出したのは俺だ。」

「でも、選んだのは私。もう、おいしく食べてたのに。」

「何だよ、食欲あるなあ。もう一回買ってくるか?ついでにあれ買ってきてもいいし。」

「いらない。もういい。時間をおいたらきっと食べたくなくなる。」

ヨーグルトを開けながらスプーンを咥える。
フルーツを入れてあふれるくらいになったヨーグルト。

「なんだかすごい欲張りなのか?」

「なんで?」

「だって元々入ってるのに、追加するって。」

「だってこうした方が両方美味しく食べられそうだし。」

「まあ、面白いからいいけど。」

そう言って笑われた。

変かな?
家ではしたことはないけど、いい食べ方だと思ったんだもん。