暗い部屋で音もなく一人。
それが普通なのに。

小さなテーブルに置いた携帯が鳴る。

『どこ?』

ん?もちろん部屋ですが。仕事が終わったらしい。

『お疲れ。部屋でゆっくりしてる、というかすることなくて、寝てる。』

『帰ったらいなかった。やっぱりそっちに帰ったんだ。』

何を言う、そう言ったし、いらないのに許可まで勝手に出して。

『そう言ったじゃない。帰って良しなんて言ったくせに。』

文字は難しい、何だか読みようによってはすごく怒ってるみたい。
急いでごめんねスタンプを送った。

『分かってる。ちょっと思っただけ。俺の部屋に帰って良しって意味だったのに。許可はいらないって、のんびりしてるっていうから、半分半分の期待で帰って来た。やっぱりいなかった。』
『残念。』
『週末まで我慢する。どこかに行こうか?』

いろいろと、伝わらないことがあったらしい。

『じゃあ、考える。何がいい?』

『美味しいご飯ときれいな夜景?必要なら車借りてもいいし。』

『出来たら電車がいい。お酒飲めないよ。』

『飲ませたいのか・・・・どうする気だ・・・・。』

馬鹿スタンプは馬と鹿が肩を組んでいるやつ。

『じゃあ、お互い考えておこう。また明日、連絡する。』

『了解。お休み。』

『譲、お休み。』

携帯を置いた。
どこがいいだろう。

宿題のある夜がこんなに楽しいなんて思わなかった。
さっきまですることがなくてぼんやりしてたのに。

楽しみな週末に向けて仕事も頑張ろう。