「何、不満そうな顔してんだよ。何?」

「どうしてみゆきに彼氏がいて当然なの?」

「はあ?」

「今言ったじゃない、いるんだろうって、当たり前だよなって言うように。」

「別に深い意味はないけど、何だよ、何が気になるんだよ。」

「私が彼氏はいませんって言った時、なんとなく分かるなあって言ったくせに。」

「面倒だなあ、どんだけ記憶がいいんだ。だってあの時は、まあ安心したっていうか、やっと話せたし。謎のキンタローも彼氏じゃないのかって思ったし。」

「あ~、ねえ、何で?教えてないでしょう?キンタローの事。何で知ってるの?電話立ち聞きしてたの?」

「途中からだよ。ジュース買いに行って声が聞こえたから見に行ったんだよ。泣
きそうな声してたし、ふたりで話したかったの。一緒にジュース開けてくれたら、もっとゆっくりできたのに。」

「だって私もドキドキしてたのに、大場も落ち着かなさそうに視線逸らしたじゃない。」

「あれ、あの時にもやられたんだよ。じっと見つめられて無言で。結構しんどいんだよ、慣れないと。大体、今日先輩にもしてたよな。先輩も先に視線逸らしただろう。普通ビックリするんだよ、最初は。」

ああ、みゆきにも言われた。
言葉にした方がいいって言われたし、気をつけようと思ったし。

「別に俺にはいいって。下向かれるよりはずっといい。」

「みゆきにも怒られた。みゆきは半分ぐらいは分かるって、何を言いたいか、考えてるか。大場は結構わかるんでしょう?すごいね。」

そういったら大場の方が無言で見つめてきた。

何?

私の考えてる事なんて当てるのは訳ないとかって思ってる?
本当は分かってないよって言いたい?

「今、褒められた気分。」

笑って言われた。

そう?
すごいとは言ったけど、嬉しい?なら褒めたって事でいい。

「褒めたかも。」

「褒められたらしい。」

「で、中村さんはもっと目立たないところにつけてもらえって言ったの?」

ん?話が戻った。

別にそこまでは言われてない気がする。
バレバレだって言われただけ。
大場を見る。

「なるほど。」 

そう、つぶやかれた。

間違ってる、今のは。
言われてないって。

褒めたのに早速間違ってるし・・・・。

分かってない・・・・。