午後はつとめて平静に。表情を固めたまま仕事をした。
もっと仕事をしてもいい。
時間が空かないように。
でも、一心に打ち込んでいたので休憩までできた。

みゆきに誘われて休憩室に行く。

何で・・・・・、今まで会うこともほとんどなかったのに。
誰かと一緒に休憩してる大場。

視線を合わせないように自販機に近寄る。

先に買ったみゆきが大場のところに行った。
しばらく見てたのに話しだして、そこで休憩することに決めたらしい。
しょうがないので横に行った。

「別に知ってるから大丈夫だよ。」

知らないどこかの誰か、大場の知り合いの人に言われた。
多分私に言った気がする。

顔をあげて見る。

誰?
大場の先輩?

その人の眉が上がる。きれいに、両方。

「なるほど、確かにね・・・・。」

そう言われてその人が大場を見る。

つい視線を追ってしまった。


「只野さん、何か喋る様にって言ったのに。」

ちょっと怖い顔で言われた。

何?


「はぁ~。」

見つめてたら、大場がため息をついた。

「先輩の澤部さん。澤部さんだけには相談してたからバレてる。」

「どうも、澤部です。大場の一つ上です。だから只野さんたちの3個上ね。よろしく。何かあったらすぐに報告するし、相談にも乗るよ。」

営業はいい感じに軽いらしい。そんな印象だけど、素敵な人だし、喋り方もはっきりしてて聞きやすい。こんなに明るい声って聞きやすいんだ。

顔を見ながらそう思った。

「只野さん、喋って。自己紹介。」

何故か大場に言われた。

「あ、すみません。只野 譲です。初めまして。よろしくお願いします。」

何をよろしくなのかは分かりませんが。