静かだし、広い。
ベトナム料理が頂ける。

「美味しそうだね。」

食欲も復活、以上にお腹が空いてる。特に今日は・・・、はい。
体力が落ちた分、辛い。

モリモリと食べれるようになって、それを見てるみゆきが安心してるのも分かる。

「美味しいでしょう?たまにはベトナム料理もいいよね。」

うなずく、口にはもやしが入ってますから。

このまま美味しい料理で情報搾取の告解がタイムアウトになればいいのに。
まさかそんなに甘くなく。

「いつからだったの?」
食べながらいきなり聞かれた。
とにかくもやしが・・・・・・。
飲み込んでみゆきを見る。

「全然気がつかなかった。オバケ。」

すっかりバレてるからしょうがない。

「ずっと。初めから、研修の時、偶然少し話をしたの。」

実家に電話した後、ジュースをもらって少し話をしたことも言った。

「同期の飲み会で少し話をしたけどちょっとムカつくこと言われて、その後、時々話かけられても喧嘩腰だったから。」

みゆきはフムフムと咀嚼しながら声にして、私はほとんどしゃべるために食事が進まず。
誤解のことも話し、みゆきの書類を見て逃避した昨日のことまで話をした。

「なるほど。全く気配も感じなくて、先輩に悪いことしたなあ。はぁ~。」

ちょっと落ち込むみゆき。

「・・・・・・何か言われたの?」

食事を少しずつ食べながら聞く。
そんな私を見て、またため息をついて。

「気が付く、普通気が付く。だからさりげなく先輩の背中を押したのに、酷い事をしてしまった・・・・・。今度愚痴を聞いてもらいながら奢ると言おう。」

愚痴?

あいつは・・・・・よく知らない人だけど・・・・・・又何かやらかしたの?
また懲りずに浮気とか?


「まあ、仕方ないね。でも、ちゃんと考えてもらったほうがいい。もしくは、わざと?首のそれ、バレバレなんだけど。」

何?襟に手をやる。
ブラウスは昨日とは違うよ?
後は・・・・・全部違うし・・・・・。何で?

「この辺痣になってる。」

みゆきが自分の首を触り、そのあと口パクで教えてくれた。

『キスマーク』

嘘・・・・・首をすくめる。
嘘・・・・・・、首を伸ばせない。知らない、気が付かなかった。
髪が短くなっては隠せない、スカーフとか・・・・・・。


「大丈夫、たまたま下を向いてた時に気が付いた。他の人は気が付かないと思う。胸元とかも気を付けてね。朝の服選びはよく考えて、ちゃんと見て。」

ゆっくり首を伸ばす。
わざとだったの?
まさかね、記憶にないし。
わざとだったら絶対揶揄いそう、それともすっかりバタバタで忘れてたとか?

ああ・・・・・、結局昨日部屋に泊まった・・・・、とまでは言わなくても夜遅くまで一緒にいたことはバレたかも。

「でも、良かった。すごく心配した。勝手にダイエット成功してるし、勝手にイメチェンしてるし、勝手に奇麗になってるし。」

褒められたみたいで嬉しい。
ついうれしくて笑った。

「せめて相談してもらえるようになりたい・・・・。」
そうつぶやくから、本当に謝った。

ランチは時間いっぱい使って食べ終わった。

「また、来ます。」

割引券をもらって財布にしまいながら、ごちそうさまを言って会社に戻った。

トイレで歯磨きしながら首元を見たけど、少し後ろなのか、ボタンを外しても見えない。

「ボタン外すと、胸もすごいよ。」

いつの間にかトイレから出てきたらしい。
みゆきに隣に立たれて冷静な目でそう言われたので急いで隠した・・・・もう・・。

「嘘。」

へっ?

「胸は見えなかった。でも隠すところを見ると心当たりあるんだ。やるなあ~、朝から。」

誰も『朝』なんて言ってない、夜のが消えないだけとか・・・・・。
鏡には真っ赤になってる自分がいて、もう無理・・・・。バレたんだと思う。
全部まるまるっと、きれいに。


今夜絶対言ってやる。
恥ずかしい思いをして、その為にバレたと。