エレベーターに並んでたら秘書課の百瀬さんに・・・・大場さんに声をかけられた。

「啓君。」

小声ではあったけど、つい私まで反応してしまった。
二人でビクッとして振り向いたら、楽しそうに笑われた。
綺麗な笑顔で、完ぺきな大人の姿で。

「出来立ての義弟の役に立てたなら、成りたての義姉も嬉しいです。」

「おはようございます。もちろんお礼を言わせていただいた通りで。面白いので今度詳しくお伝えします。兄にも楽しみにしててほしいと伝えてください。」

何・・・・。言うの、まあ、言うだろうなあ・・・・。
恥ずかしい早とちりのような誤解のあれこれ。

さり気なく・・・秘書課の大場さんと視線が合ったので軽く礼をした。
満足そうななほほえみを返された。

素晴らしい・・・。つい見とれる。

「只野さん、エレベーターに乗らないの?」

「乗ります、もちろん乗ります。」

「あんまりボケッとしてると大切な携帯とか家の鍵とか財布とか、無くしそうだね。」

さり気なく言われたけど、絶対無くさない。
預かった鍵は。
それだけは・・・じゃなく、それ以外も。