離れたら本当につながりのない二人になる。
週末どうやって過ごしてるのかもわからない。
連絡手段さえない。
共通の知人もいないから、直接声をかけて誘う以外方法もない。

そんな偶然滅多にないのに。


それから数週間たったある日、ぼんやりと一人でいるところを見かけた。
しかも土曜日、この上なくうれしい偶然。

私服でイメージが違った。
でも間違えたりはしない。

声をかけるとしばらく余所行きの顔で見あげられた。
いつものように勝手に彼女のペースに割り入って隣の位置を確保した。

後は強引に誘ってお酒を飲んで。


相変わらず会話は甘い感じなんて少しもない。
それでも時々じっと見られる。
何を思ってるのだろう。
まったく嫌だと言う表情はしてない。
なんだかんだ言っても素直になって笑顔を見せてくれることがある。

俯いて元気がなかったけど大分復活してる気もする。
思わず頭を撫でていた。

思いっきり照れて欲しい所だが、そんな表情は見せてくれない。
覗き込んだ表情はガッカリした表情にさえ見える。

元々気持ちを、考えてる事をあまり言葉にしてくれない。
嫌だという意思表示だけが即断で帰ってくるけど、それ以外はじっと見つめて来るだけだ。

本当に分かりずらいから、いまだに今ならいけそうだという手ごたえが感じられない。
あまり自信もない。


もし、早紀さんと友達になってもらえたら、ちょっと探ってもらえるのに。
なんてどこまでも甘い考えをしてしまう。


また連絡先を聞けないまま別れた。
またの偶然に頼るしかないらしい。


どう思ってるんだろうか?

気まぐれにちょっかいを出してくるだけの同期だと思われてるんだろうか?
俺のような性格だとそれもありだろうと思われてるだろうか?
他の人にも気軽に声をかけてるんだろうとか思ってるかもしれない。
まさか自分が特別だなんて思ってもないのだろう。