車に乗って待っていた大場。ノックして開けてもらう。

「お待たせ。」

「遅い!」

「嘘。早いはず。遅くない。」

「そう言うんなら急いだんだな。よしよし。」

シートベルトをしながら睨んだ。

膝の上に袋を渡された。
歯磨きセットが入っていた。

わざわざ買ってくれたらしい。
コップもあるんだけど。

車はすぐにUターンして元の駐車場に戻った。
何だかパネルを操作している。

手に持った荷物を持たれて、空いた手をつないで部屋に戻った。

今日はここに泊まるんだと思った。

ドキドキしないようにして。

部屋に入って荷物を広げてハンガーを借りる。

「すごい、ちゃんと何枚か持ってきてるなんて。偉いな。」

「だって、そう言ったじゃない。」

「だから褒めたじゃないか。」

「褒めたの?馬鹿にしてない?」

「何でだよ。考えすぎ。偉いなって褒めたんだから、そうでしょう?とか可愛らしく言ってくれてもいいのに。」

「今までが今までで、そう素直にはなれません。」

「どうだかな。」

「また馬鹿にした?」

「何だよ、突っかかるなあ。」