「食べ物、冷凍食品ならあるけど。」

「ヨーグルトくらいでいい。」

「食べろよ、痩せただろう?」

「うちに帰って食べる。」

「お腹空くって。」

「じゃあレンジでチンで満足です。」

本当に世話焼きだ。


初めて入る部屋に緊張する。
意外にきれいでびっくりした。
私の部屋よりきれい?

座る間もなく食事の準備をする大場。
すっごくお腹空いてたらしい。

「何か手伝う?」

「ああ、いいよ。ソファにいて。すぐできるし。」

グラスを二つと、お皿とフォークを出してパスタを出してくれた。
二種類。

「チンご飯、久しぶり。美味しいんだね。」

「料理するの?」

ちょっと驚いてる?失礼な。

「まあまあ、週末にある程度まとめて作る。」

「へえ、マジ?楽しみ。」

そう言われた。何でよ。
言い返したいけど、それならいっそビックリさせたいと思ったりした自分。

ヨーグルトでいいと言いながらも、モリモリと食べて、紅茶をもらう。

ソファで座って紅茶を飲んでたらいきなりこっちを向かれた。



「で、話の続きをしようか?」

手を腰に回されてソファから落ちてる膝下を絡められて、逃げられない体勢でスタート。
近い距離感。
まだ心はふたりの距離を測りかねてて・・・・。
難しいのに。


「何で誤解した?」

「だって初めての飲み会で、すれ違う時に話してた内容で。ああいう美人が好きなんだと思った。」

「そんな前に、何も言ってないし。すでに兄貴の彼女だったし。」

「その後、最近になって二回くらいお昼と帰りに一緒にいるのを見た。」

「ああ、いろいろ伝言とか渡すものとか・・・・まあ一緒にいたけど。」

「笑顔が違う。全然、他の時と違う。」

「それ同じことを早紀さんにも言われた。兄貴のいる前で『譲ちゃんといる時の笑顔は見たことがない顔だよ。』って。」

いつ見られたの?知らない。

「二人でいるところを見られてたらしい。」



「で、それだけ?」

充分でしょう?