それからランチはやっぱり食欲がなくて。
みゆきの横で買って来たサラダをつついたり、ヨーグルトを食べたり、野菜ジュースを飲んだり。
さすがに痩せた。

「ねえ、うっとうしいよ。気分転換しよう。絶叫マシーンにでも乗りに行く?」

「いい、吐く。」

うっとうしいなんて友達の言うセリフ?
みゆきは正直だ。

「もう。笑顔も痛々しい。」

それも正直なんだろう。

「先輩も心配してるよ。」

「大丈夫。その内元気になるから。」

「今月の山場もすごいよ。体力つけといてね。倒れたら許さないよ。本当の事、聞き出すまで帰さないから。」

「大丈夫。だいぶ夜は食べれるようになった。昼は軽めにしてるけど。」

「そんなやつれた顔で言われても説得力ない。」



会社で見かけることはほとんどないから。
心はただ静かに冷えてる状態。
今は何をしてもらっても心からは喜べない、楽しめない。

でも時間が解決してくれると思う。
始まらなかったものが終わっても、さほど喪失感もないはずなのに。
何でだろう?



気分転換。気分より私を変えたい。

そう自分が変わればいい!

思いついたらいい案だと思った。
そのまま週末に予約をする。
カラーとカット。

いい案だと思った割に普通のことだった。

ちょっとだけ大人びる様に、黒髪をきれいにまとめていたこともあった。
ただただ地味さに拍車がかかっただけだった。

「年齢不詳。」

みゆきにそう言われた。
若くなったんじゃなくて、老けて見えるって事だろう。
大人女子を目指してたのに、地味過ぎて、年上に見えただけ。
やはりあんな色っぽさや隙のない綺麗さは真似できないと思った。

黒くてまっすぐな髪。嫌いじゃなかった。ある程度柔らかさもある、
量も多からず、少なからず。

美容室の担当の人にも褒められる。
今まで同じような髪型しかしてこなかった。
肩上か、時々伸ばすか。