わたしたちの第一志望校は、県立日山高校といって、小高い丘の上に建っている。
わたしとひとみと雅樹はオープンキャンパスの始まりよりも早めに行って、琴野中の先生に話を通した。
「この二人は前の学校の同級生で、日山高校を受けるつもりなんです。オープンキャンパスでは、中学ごとに整列したり行動したりってことになってますけど、二人はどうしたらいいでしょう?」
わたしの担任は理科担当の若い男の先生で、締め付けはあまり厳しくない。
担任は、ひとみと雅樹に愛想よく挨拶をして、わたしに告げた。
「三人で行動していいよ。ただし、開会式と閉会式は、琴野中の列のいちばん後ろとか、こっちが把握しやすい場所にいてもらえると助かるかな。
木場山中だっけ? 制服が違うから目立っちゃうけど、我慢してね」
オープンキャンパスに参加するのは、日山高校から比較的近い数校の公立中学校だった。
ぞろぞろと体育館に集まってくる人混みの中で、木場山中の時代がかったブレザーの制服は、確かに目立つみたいだった。
ひとみと雅樹に注目が集まった。
二人のそばにいるわたしのところには、いつもよりも人が寄ってくる。
特に女子だ。
「蒼ちゃん、あのカッコいい人、誰? 芸能人みたい」
やっぱり雅樹って、外から見ると、そんなふうなんだ。



