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わたしの成績は抜群によくなった。
誰よりもまじめに授業を聞いて、ノートをまとめ直している。
結果が出ないはずがない。
智絵は相変わらず、わたしと一緒に登校することはない。
形だけ出席日数を稼ぐために、チラッと保健室に出てくる日はあるらしい。
でも、智絵とわたしの関係が切れたわけではなくて、智絵の体調がいい日には、部屋で一緒にしゃべったりゲームをしたりした。
会えないとき、智絵はイラスト付きの手紙をくれた。
わたしは、短編小説を書き上げるたびに智絵に読んでもらった。
わたしが智絵の部屋にいたとき、たまたま、智絵の担任である女の先生が家庭訪問に来たことがあった。
わたしたちはゲームをしていた。
担任が智絵の部屋に入ってきて、智絵は慌ててゲームのポーズボタンを押した。
小さな音量でBGMが鳴り続ける。
智絵は担任のほうを見ず、視線を低くしたまま、体を硬くしていた。
わかりきったことを、担任は智絵に訊いた。
「やっぱり、教室には行きたくない?」
智絵は震えながらうなずいた。
本当は、行きたいか行きたくないかっていう、意思の問題じゃないんだ。
智絵の体調は、学校というものを拒んでいる。
体が動いてくれないときは本当にどうしようもないんだって、担任にはきっとわからないんだろう。
学校という世界でつまずいたことがないんだろうから。



