女子同士のスキンシップ。

仲良しの証。

それが、これなんだろう。


でも、わたしは小学生のころから、誰とも特別な仲良しにならないように気を張ってきた。

どうせすぐに転校しなければならないんだから、と。

抱き着いたりくっついたり、そういう距離感はできるだけ避けてきた。


だから、人の体の柔らかさとか体温とか、ぐにゃぐにゃで壊れそうでつぶれそうで、怖い。

キモチワルイ。

自分の体もこんなふうなのかと思うと、それもキモチワルイ。


そんな休み時間があった日の、掃除の時間。

当番の場所である階段に行く途中で、聞こえてしまった。

男子がしゃべっている声。


「背ぇ高くて大人っぽいし。さっきの休み時間のアレ、ヤバかったよな」

「スカート長いから普段はわかんねーけど、体育のときの太ももの白さと肉付きがさ」

「襟んとこのボタンも。絶対に肌を見せようとしないところが逆にエロい」


やせたい、と思った。

脚が太いのはコンプレックスで、急に肉付きがよくなってきたのもイヤで、

そんなところを見られているんだと想像するだけでも恥ずかしい。

そして、キモチワルイ。


見ないで。

わたしを見ないで。

見せたくないって、服装で意思表示しているのに、視線を向けないで。

話題にしないで。


消えてなくなりたい。


わたしはこんなに卑屈で、誰ともなれ合いたくないと周囲をはねのけている。

なのに、どうして、誰もわたしをのけ者にしてくれないの?

嫌われて、うとまれて、いじめられてしまえば、いっそピッタリな役柄なのに。