どうして?
何をすればマシになるの?
何で智絵がこんなに嫌われないといけないの?
頭が真っ白になった。
怒りなのか何なのか、大きな感情が渦巻いて、それに呑み込まれて、わたしは混乱するだけだった。
どうして何もできないんだ。
意気地なし。
人形やぬいぐるみのような、人や動物に似せた形のモノには、作った人の感情が乗り移ると、
昔からそういう言い伝えやおとぎ話がある。
じゃあ、このクラスで作るドラえもんは、かわいそうだ。
誰のどんな感情が乗ったって、とても醜い。
作業はどうにか進んでいった。
智絵は、大変だったはずなのに、ドラえもん本体より先に背景イラストを完成させた。
毎日、放課後の下校時刻ギリギリまでやり続けたみたいだ。
美術部員としての作品も描かないといけないのに。
文化祭の二日前に全部の作業が完了した。
やっと解放される、と思った。
苦痛でたまらない毎日だった。
ちゃんと教室にいたはずなのに、覚えているのは胃の痛みだけだ。
隣のクラスは、楽器ができる人がたまたま集まっているから、ステージでミニライヴをするそうだ。
廊下を通るとき、チラッと中がのぞけた。
衣装や小道具の打ち合わせをして、ワイワイ盛り上がっていた。
去年はわたしもそっちだった。
演奏者としてステージに上がった。練習ではうまくいかないこともあったし、本番も完璧ではなかった。
というより、思いっ切り間違えた上に時間オーバーして迷惑をかけた。
すごく恥ずかしくて情けなかった。
でも、今のこの無力感に比べたら、去年の失敗なんてかわいいものだ。
すごく普通だ。
わたしはそんな当たり前の場所にいたのに。
どうしてわたしは今、こんなところにいるんだろう?
歌うどころか、口の利き方さえ忘れてしまったかのような毎日。



