結果から言えば、わたしは合格した。

雅樹は響告大に落ちて、第二志望には危なげなく合格した。

ひとみも第一志望に通ったらしい。

木場山中学の三羽烏だったわたしたちは、三人とも別々の場所に散っていく。


雅樹からは結果のメールが逐一来たけれど、

ひとみやそのほかの人たちの進学先について聞いたのは、三月半ば過ぎの職員室でのことだ。

わたしはその日、卒業証書を受け取るため、久しぶりに日山高校の坂を上った。


わたしは卒業式に出なかった。

入試は終わったけれどまだ合否がわからない時期に、わざわざ学校に出ていく気が起こらなかった。


そうでなくとも、最後に思い出を作ろうとか写真を撮ろうとか寄せ書きをしようとか、そんな空気が嫌いだった。

学校という世界の存在を強烈に感じなければならない。

その実感は、智絵の思い出をいやおうなしに連れてくる。


わたしはついに、高校に上がってから一度も智絵に会わなかった。

存在を忘れている日さえあった。

智絵が今どこで何をしているのか、生きているのかどうかすら、知らない。