雅樹は拍子抜けした様子で、パチパチと、まつげの目立つまばたきをした。
「そんなもん? 女子の友達関係って、やっぱよくわからないな」
女子、とひとくくりにされたことに、わたしは強烈な違和感を覚えた。
わたしは普通の女子高生の群れの中に溶けてしまいたくなんかない。
「ひとみは浮かれてる。それで成績が維持できてるから凄まじいけど、わたしは同じペースではいられない。死ぬ気で頑張らないと、響告大は遠い」
「判定は?」
「全然。EとかDとか。偏差値で言ったら日本トップの二校だけ、桁が違うよね。わたし、ほかでは確実に合格ラインが出せるのに」
「おれもけっこう、判定にはばらつきがあるよ。でもさ、根拠のないことを言うのは好きじゃないけど、蒼はやれる気がする。鹿島先生も口が悪い割に、蒼のことは誉めるよな」
わたしはかぶりを振った。
周囲が思うほどわたしは頭がよくないし、できるように見えるとしても、見栄を張っているだけだ。
でも、尻尾は出したくない。
口はつぐんでおく。



