「本当は見たくない。まわりのことなんて。学校という世界は、やっぱり嫌いだから。でも、成績を上げるために便利だから通ってやる。そういうつもりでいるの。わたしは誰とも馴れ合わない」


上田は小さく笑った。


「ハッキリ言葉で聞いちゃうと、蒼さんはそういうタイプだってわかっていても、やっぱり寂しいな」

「寂しい?」

「ぼくの勝手な感情だけどね。一匹狼で、どこまで行くつもり? 高校を卒業するまで? それとも一生?」

「卒業よりも一生のほうが長いのかな。わたしにはそれもわからない。いつまで生きていられるのか、って。生きていたいわけでもないし」

「そろそろやめて。本当に、寂しいっていうか、いろんな感情が引っ張り出されてあふれてしまいそうになるから、もう言わないでよ。でもね、今日は疲れたけど、学校がないのに蒼さんに会えたのは、ぼくにとっては……」


上田はそこまでしか言わなかった。

言葉の続きがわかるような気もしたけれど、わたしは考えたくなかった。