十四時間のフライトでは結局、一睡もしなかった。

考えごとをして眠れなかった時間もあったし、寝ている子をインスタントカメラに収めるといういたずらにも加わった。

お互い手紙を出そうと言って、住所を教えあった。

そんなことをしていたら、あっという間だった。


最後に空港で、竜也と握手をして別れた。


「写真もいっぱいあるし、手紙、絶対出しますね」


飛行機の中で、初めて竜也とちゃんとしゃべった。

竜也は、中学まではサッカー部だったそうだ。

高校では何となく弓道部に入ったそうだ。


わたしは、幽霊部員気味だけれども文芸部であることを教えた。

今回のホームステイのことも小説にしたいと口にしたら、竜也はそれを読みたいと言った。

それで、次号の文芸部誌を一冊、竜也のところにも送る約束をした。


家に帰り着くと、強烈な時差ボケで丸一日眠った。


眠りは浅かったようだ。

長い長い夢を見た。

ミネソタでの思い出をなぞるように、森と湖と芝生と教会と学校が順繰りに現れる夢だった。

わたしはギターを弾いたり買い物に出たりした。

ケリーがいて、ブレットがいて、竜也がいて、みんな笑顔だった。